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愛人パリソウラと影武者ラティフ

今日から日本で公開されている映画

『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』


もうご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?




私はラティフさんのインタビューをインターネットニュースで読んだくらいなのですが、


今年この本を訳したので、それだけでも色々と思うところありました。

生き抜いた私   サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白生き抜いた私 サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白
(2011/09/14)
パリソウラ・ランプソス、レーナ・カタリーナ・スヴァンベリ 他

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↑大富豪のお嬢様として生まれたのに、30年以上に渡りサダム・フセインの愛人として生きる羽目になったパリソウラ。

個人的にはこっちを映画化したほうが面白いと思うのですが・・・(失礼)


ラティフ氏の発言を聞いていて、とても興味深かったのは、


ウダイは真の悪人だったが、サダムや弟のクサイとは楽しい思い出もある

とか

サダムは悪人だが、イラクの国のインフラを確立したり、良いことも色々した


という意見は、正にこの本の中でパリソウラが言っていたのとまったく同じです。

なんだか感動しました。



ラティフ氏の発言で、一番ショックだったのは、


現在のラティフ氏はアイルランドで暮らし、人権擁護団体のメンバーとして活動を行っている。

「20年前に西側に亡命したときには、独裁政権のイラクと違って人権や言論の自由が約束されていると信じていた。しかしCIAに協力しなかったことで私は拷問にかけられ、書いた本は発禁にされ、いまだにどこの国の市民権も得られていない。結局どこの国もシステムが違うだけで、民衆に真の自由は与えられてはいないんだ」と語気を荒げる。




イラクを逃れても、不条理は横行しているのですね・・・涙





一方のパリソウラは、今スウェーデンに住んでいます。

それは正しい選択だったのかも。


現在はスウェーデン国籍となり、自伝も出しちゃって。


イラクでの大富豪の生活とは比べ物にならない、地味な生活だけど、家族に囲まれ平和で幸せそうです。



あ、彼女は生き抜くために、CIAにもバッチリ協力しました。

後から思えば、それは賢い選択でしたね。

やっぱ女は生きることに関して賢いなぁ・・・。







ウダイの影武者をしていたラティフと、ウダイの秘書としてイラクオリンピック委員会で働いていたパリソウラ。


二人はもちろん当時何度も面識があります。





日本語版ではカットされていますが、スウェーデン語の原書には、ラティフに関してこのような記述がありました。



ある日、ウダイに八階へオレンジジュースを持っていくよう命じられました。
 「八階では誰とも言葉を交わすな。ただジュースを置いて来い」
 「誰にジュースを渡せばよいのよ?」
 「黙れ!」

 ウダイや私のオフィスは7階でした。最上階は秘密警察のフロアで、普段からそこで盗聴などの任務が行われていました。その日八階でエレベーターを降りると、そのフロアはすっかり改装され、歯医者のようになっていてたので、私は驚きました。―これは一体何?何が起きているの?

 ドアが開けっ放しになっていた部屋の中に目をやると、アブドゥル・ラティフが見えました。ウダイには前歯の間に隙間があり、喋る時に独特の音がしました。アブドゥル・ラティフをウダイと同じ歯並びにする手術をしたのです。

 アブドゥル・ラティフは横になり、目をつぶっていました。ジュースはラティフのためだったのです。ウダイにとって、口にする食べ物全てが官邸の厨房から届けられるのが非常に重要なことでした。これからはラティフにとってもそうなるのです。

 私は黙ってテーブルにジュースを置き、その場を離れました。ウダイが喋るなと言ったし、この階にも隠しマイクはあるという確信がありました。

 かわいそうなラティフ。ウダイにそっくりの影武者に変えられてしまいました。手術だけでなく、ウダイの睡眠や食事の習性、歩き方、喋り方など全て厳しくトレーニングされました。ラティフの母親でさえ、息子だと気がつかないほどでした。

 ある日私はウダイのオフィスを出て、アシスタントの私も使うことを許されているウダイ専用エレベーターで下に降りました。2分後またエレベーターで上がると、突然横にウダイが立っていました。さっきとは違う服装で!

 私は彼をまじまじと見つめました。

 「何か問題でも?」ウダイが聞きました。

 エレベーターにも盗聴機器が仕掛けられているでしょう。私はただ頭を振りました。質問も回答も命を危険にさらします。私の腕には鳥肌が立ち、7月の暑さの中で寒気を感じて身震いしました。

 ウダイの願いは叶ったのです。エレベーターの中の男はウダイに瓜二つでした。でも私は気がつきました。外見だけで人を見るものではない。その人特有の眼差しを覚えておきなさい。いくら改造されても、ラティフの心までは変えられません。その魂も。ラティフ自身がその眼差しに表れているのです。それはウダイにも手の施しようがありません。



ラティフ氏はパリソウラの自伝を読んだのかしら?

亡命して生き延びた二人が、再会できたら感動的ですね。



こちらの本、是非読んでみて下さいね。

最初から最後まで、壮絶なエピソードが詰まっています。

このサイトでは、他にもたくさんのスウェーデンの小説を紹介しています。
左側の”カテゴリー”より、是非ご覧ください!


生き抜いた私   サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白生き抜いた私 サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白
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プロフィール

yokokuyama

Author:yokokuyama
1975年生まれ。
神戸女学院中高部、同大学文学部卒。
AFSでスウェーデンの高校に留学。

北欧専門現地手配旅行会社、スウェーデン大使館商務部勤務を経て、2010年初めに家族でスウェーデンへ移住。

現在は、日本の出版社さんにスウェーデンの本を紹介し、翻訳するお仕事をしています。

日本の雑誌への寄稿や撮影手配もしています。

趣味は、オーケストラ演奏、ヨガ

執筆した記事、翻訳した本etc
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